Salling Clickerに捧ぐ

http://homepage.mac.com/jonassalling/Shareware/Clicker/
ryの元ネタになっているClickerというソフトがあるのだが、便利さの割に知られていないような気がする。知っている人は知っている、そんなソフトである。ひとことで説明すると、無線(Bluetooth)でMacをコントロールするリモコンである。つまり、ryがしていることと同じである(将来的な構想としてはClickerを超えるものを作ろうと思っているのだが)。無線の媒体の違い(Bluetooth or Wireless LAN)はあれど、現在ryでできていることはClickerでできる。
いまフツーのリモコンを使っている人にはこのような「無線インタラクティブリモコン」の便利さは想像しにくいと思う。ちょうど、iPodが出始めのころ、それまでのMDプレーヤや数メガのシリコンオーディオプレーヤのユーザがiPodの革新性を理解するのに時間がかかったように。私自身もClickerを使ってみるまでは「1へぇ」ぐらいの関心しかなかったのだが、使ってみて、コトの重要さに気がついたクチである。そして、いずれはそれが当たり前になると強く信じることができる製品だと思う。ポイントは2つ。

インタラクティブ

ハードディスクレコーダに50個ぐらいのボタンがついているのは、それだけ機能が多いこともあるが、赤外線リモコンが一方的に送信するだけのメディアだからである。Clickerやryではさらにいろいろな機能を操作できる必要があるが、操作する機能によってボタンがいま必要なものに変化する。自分のiTunesライブラリの曲を順番に提示して選択させる、メールボックスに新規メールが届いていればそれを知らせる。
Windows Media Center Editionでは10feet UIとして旧来の多ボタンリモコンと画面を見ながらの操作を基本としている。しかし、いくら文字を大きくしてもテレビの画面で文字を読むのはつらい。Clickerのアプローチは「遠くの親戚より近くの隣人」ならぬ「遠くの大画面より近くの小画面」である。そもそも音楽を切り替えるだけなのに大画面テレビを凝視しなければならないのは納得がいかない。iPodほどの画面で十分なはずである。テレビはWindowsの旗をひらひらさせるスクリーンセーバのためにあるのではない。
また、そういったインタラクティブリモコンではより個人的にカスタマイズできるはずである。いつも同じ使い方をしている人向けにはそれを学習して一連の処理としたり、デフォルトのフォーカスをそちらに向けたりできる。おじいちゃんおばあちゃん向けにはより親切な説明を表示して、ボタンの数を減らすことも考えられる。

無指向性

赤外線リモコンを使う場合、赤外線送信部をテレビ等の赤外線受信部に向けて発射する。テレビのように意識をそちらに向けて操作するような物に対してはそれも自然と思える。しかし、部屋に流れる環境音楽やクーラーの温度など、よりアンビエントなものに対してはどこに向けるのが自然なのだろうか?またテレビのように向き合って使うものなら同じ部屋で操作するのが当たり前だが、オーディオなどは別の部屋にあるかもしれない。
いま売っている製品は1つの機器に1つのリモコンがついていて、それはそれでわかりやすいが、多くなってくるとリモコンの数が増えて煩雑ではある。そこで多機能学習リモコンなどを買ってきて1つにまとめるのであるが、今度は人間の方が使い方を覚えにくい。
ハードディスクレコーダの電源を入れたときにテレビも同時につくべきではないのか。家に帰ってきたら、部屋の明かりをつけ、クーラーをつけ、お湯を沸かす。1階から2階に移るとき1階の明かりを消し、2階の明かりをつけ、1階のクーラーを消し、2階のクーラーをつける。同時にすることが決まっている一連の操作ってありますよね。同時にあちこちに指令を出すという操作を1つのリモコンでできるようにするべきではないか。その場合も、使う家族によってシーケンスは微妙に違うかもしれない。将来のリモコンはより個人的にカスタマイズされているはずだ。

Clickerの今後

そんな風に考えるといろいろ面白そうな可能性が見えてくるClickerだが、なぜいまいち流行っていないかというと、Bluetoothという技術の普及がいまいち、という点につきると思う。すべての携帯電話にBluetoothが搭載されていて、すべてのテレビやハードディスクレコーダがBluetoothでコントロールできたら、それを使わない方がおかしいと思えるぐらいの便利さである。次世代ゲーム機Bluetooth搭載で拍車がかかればよいが、どうだろう。

ちなみにこのようなインタラクティブリモコンに関する技術特許はそれこそいろいろな企業が持っている。先日紹介したAppleしかり、同じDigital HUB市場を狙うMSしかり、日本の家電メーカしかり。そして、それらの特許は互いに大差ないものが多く、trivalなものばかりである。仕事がらソフトウェア特許に関する情報はちょくちょく入ってくるのだが、日本企業の取る特許は笑えるのが多い(いや、笑いごとではないのだが)。少々アナーキーな発言ながら、技術を考案した人を保護するという大義名分はわかるけども、Sallingのようにある技術を広める努力をしているところ(実装を頑張って「使える」モノを作ったりとかね)を保護する法律がないのはおかしいことではある。と、つねづね思っているところです。

まだまだ書きたいことがありますが、今後追記しています。

Menu.widget, Auth.widget

トップの各種ウィジットが並ぶメニューもMenu.widgetとして実装した。Auth.widgetはパスワード認証(&cookie保存)するためだけのウィジット。ともにメニュー画面には表示されないので、ソースを読む人しかわからないことだけども。メタプラグインというか、すべてがプラグインEclipse風というか。

ry-0.2.0

主にMac側のユーザインタフェースを改善した0.2.0を公開しました。

  • パスワード認証をつけられるようになりました。
  • アプリケーション起動時に自動的にサーバを起動できるようにしました。
  • Safari.widget: Safariのブックマークを読み込めるようにしました。
  • Power.widget: スリープ、再起動、シャットダウンできるようにしました。


ダウンロード:rymk.com

問い合わせ先を公開しました。